新型コロナウイルスの感染拡大が働く人の意識に及ぼす調査
公益財団法人 日本生産性本部/2020年5月22日調査結果レポートより抜粋
調査対象:20歳以上の日本の雇用者(就業者から自営業者、家族従業者等を除く)1,100名。
※ 総務省「労働力調査」の結果に基づいて性・年代別にサンプルを割り当てて回収。
目次
新型コロナウイルスの影響で「柔軟な働き方」が普及。
新型コロナウイルスの感染防止対策として「三密」(密集、密閉、密接)を避けるため、時差出勤やテレワークなどの積極的な活用が推奨されています。これらは従来「働き方改革」の一環として各企業が模索してきた施策に沿ったものであり、図らずもコロナ禍によって多くの企業が移行するところとなりました。
「働き方改革」が企業に求めているもの
日本の労働環境が直面している「少子高齢化に伴う生産年齢人口の減少」や「働くスタイルの多様化」などの課題・変化に対し、労働生産性の向上や従業員満足度向上を実現する「柔軟な働き方」の環境づくりが企業には求められています。今後この傾向はますます進んでいくことになると予測されます。
テレワークの形態のうち最も多いのが「自宅での勤務」であり、「サテライトオフィス」「モバイルワーク」は少数にとどまるため、以降は「自宅での勤務」に絞って分析を進めます。
「オフィスへの出勤は2日以下」が約7割を占めることに。
テレワークによって勤め先への出勤頻度が減るのは当然ですが、移行は徐々に進むと考えられてきました。しかし今回の緊急事態宣言の影響でそれが一気に進むことに。週に何日出勤したかを質問したところ、最も多いのは「1~2日」の 37.3%、次いで「0日」の32.1%。2日以下の出勤が約7割を占め、週の半分以上をテレワークで行っている人が多いことが分かりました。
一方「自宅での仕事はオフィスでの雑事から解放さるため効率が上がる」と期待されていましたが、調査結果をみると「効率が上がった」7.2%、「やや上がった」26.6%と効率アップを実感したのは3割強にとどまっています。
逆に「やや下がった」41.4%、「効率は下がった」24.8%と、自宅での勤務は期待通りの成果を上げていないことが分かります。
※図3の「効率性」について、性別年代等の諸属性とは関連性が無く、また子供の有無などの世帯構成とも関連性が認められませんでした。
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テレワークを進めるときの課題。
テレワークで期待通りの成果を上げるには、どのような課題があると感じているのでしょうか。調査結果から最も多いのは「職場に行かないと閲覧できない資料・データのネット上での共有化」48.8%であり、以下「Wi-Fi など、通信環境の整備」45.1%、「部屋、机、椅子、照明など物理的環境の整備」43.9%などが続き、課題は山積しています。「特に課題は感じていない」は8.4%しかなく、多くの人が現状に不都合を感じていることが分かります。
興味深いのは自宅での勤務の満足感が高いこと。
「満足している」18.8%、「どちらかと言えば満足している」38.2%と、程度の差はあれ、満足を感じている人は6割弱にのぼります。自宅での勤務によって通勤ラッシュから解放されたことや、感染リスクが軽減されたことなど、経済性だけでは評価できない部分で満足を感じているようです。
新型コロナウイルス感染拡大が収束した後もテレワークを続けたいか意向を尋ねたところ、「そう思う」24.3%、「どちらかと言えばそう思う」38.4%と、前向きな意向が6割を超え、前出のテレワークの満足感と符合する結果となっています。
※満足感について、性別年代等の諸属性とは関連性が無く、また子供の有無などの世帯構成とも関連性が認められませんでした。
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可能性が高いとみられている収束後の働き方の変化
新型コロナウイルスの流行は「働き方」に様々な影響を及ぼし、多くの雇用者に初めての経験をもたらしました。最後に新型コロナウイルスが収束した後の働き方や生活様式について、変化は起こり得るかを項目別に質問しました。
「業務の要不要の見直し」「Web 会議の普及」など。
また「時間管理の柔軟化」「決裁方法のデジタル化」も可能性が高いとみられています。